エアコンクリーニング業者の選び方、プロが教える10のポイント

エアコンクリーニング業者の選び方・10のポイントのアイキャッチ画像

「5,000円と30,000円、何が違うの?」
「格安業者でも大丈夫?」

検索すると出てくる無数の業者、料金の幅、口コミの真偽。情報が多すぎて判断がつかず、結局「安さ」だけで決めて後悔する人が後を絶ちません。

エアコンクリーニングは頻繁に行うものではないため、選び方を誤ると不十分な洗浄でカビが再発したり、洗剤残留による故障で高額な修理費が発生することもあります。料金の安さはもちろん重要ですが、技術力・保証・洗剤の安全性を理解して選ぶことが重要です。

この記事では、格安業者に潜む3つの重大なリスクを実例写真とともに解説し、本当に信頼できる業者を見抜くための10のチェックポイントをまとめました。

料金の透明性・技術力・万が一の保証まで、プロの視点から徹底解説しています。自宅のエアコンの状態や予算、求める洗浄レベルに合った業者を自信を持って選択する参考にしてください。

宇賀神智明 監修者

株式会社ウガホームサービス エタククミ代表

宇賀神智明 (うがじん ともあき)

エアコンクリーニング歴6年以上、延べ5,000台以上の完全分解クリーニング実績。エアコンから漂う嫌な匂い、内部に潜むカビ…。なぜ、掃除をしてもすぐに再発するのか?その根本原因は、フィルターのような「見える場所」ではなく、一般的な清掃では決して届かない「見えない場所」のカビやホコリにあります。この『分解なくして、清潔なし』という現場の常識をお伝えするため、プロとして本記事を執筆・監修しています。

目次

料金の安さの裏にある3つの重大リスク

料金だけで業者を選ぶべきではないのは、その安さが「不十分な洗浄による健康被害」「不適切な洗剤による機器の故障」「高額な追加請求」という3つの重大なリスクに直結するからです。

その具体的なリスクを解説します。

リスク1:不十分な洗浄でカビが再発し、家族の健康を害する

安すぎる業者は、利益を出すために1件あたりの作業時間を極端に短くする傾向があります。その結果、本来時間をかけるべき部品の分解や、カビの根が潜む奥までの高圧洗浄が省略され、クリーニング後すぐにカビが再発する可能性が非常に高いです。通常クリーニングと言われる(部分洗浄業者)の洗浄範囲は写真をご覧ください。

ケーシングでカビが発生してる様子
完全分解洗浄ではない、通常のクリーニングでは、ブラシが届かない奥の部分(写真の赤線部分)のカビや雑菌が残ってしまうことがあります。これが根本原因となりクリーニング後もすぐにカビが再発してしまう。

見た目が綺麗になっても、カビの根源が残っていれば、すぐにまたカビ臭い風が部屋中に撒き散らされてしまいます。エアコン内部のカビが原因でアレルギー性鼻炎や気管支喘息、さらには「夏型過敏性肺炎」といった深刻な健康被害を引き起こす可能性があることは、専門機関からも報告されています。

格安業者による洗浄不足が明らかに

ドレンパンに洗浄残りがある写真
宇賀神智明

この写真は、洗剤を一切使わず水のみで高圧洗浄した様子です。左側に白い泡が出ているのは、前回の部分洗浄業者が残した洗剤です。 ドレンパン(受け皿)の樹脂部分や、発泡スチロール・スポンジのような緩衝材に洗剤が染み込んでおり、水を当てるだけで泡立つ状態になっています。これは洗剤がしっかりすすがれていなかった証拠です。

リスク2:不適切な洗剤を使われ、エアコンの寿命を縮める

安さの背景には、コストの安い不適切な洗剤が使われているケースが少なくありません。特に、汚れを素早く落とすために、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性洗剤を知識なく使用し、十分なすすぎを行わない業者が存在します。

この「洗剤のすすぎ残し」が、エアコンに2つの致命的なダメージを与えます。

損傷①:プラスチック部品の亀裂(ケミカルクラック)による水漏れ

残留したアルカリ性洗剤は、エアコンのプラスチック部品を徐々に劣化させ、目に見えない無数の細かい亀裂を発生させます。それを「ケミカルクラック」と言います。特に、結露水の受け皿である「ドレンパン」を含む底フレームは、洗浄後のすすぎ残しが溜まりやすい部分。ここにクラックが発生すると、水漏れの直接的な原因となります。

ケミカルクラックが発生している底フレーム全体画像
エアコンの土台となる底フレーム。赤丸部分にケミカルクラックが発生しやすい。
底フレーム左側のクラック(拡大写真)
底フレーム左側のクラック(拡大写真)
底フレーム右側のクラック(拡大写真)
底フレーム右側のクラック(拡大写真)

損傷②:アルミフィンが溶ける「アリの巣状腐食」による冷媒ガス漏れ

さらに深刻なのが、エアコンの心臓部である熱交換器(アルミフィン)の腐食です。特に、ドレンパンと接する熱交換器の下部は構造的にすすぎにくく、ここに強アルカリ性洗剤が残留すると、アルミを徐々に溶かしてしまいます。

洗剤が原因で白くなっている熱交換器
すすぎ不足により熱交換器が白くなっています。
洗剤が原因で腐食してる熱交換器
矢印の箇所に黒く穴があいてしまっています。」(タップすれば拡大できます)

これは「アリの巣状腐食」と呼ばれる現象で、小さな穴が開き、冷媒ガスが漏れ出してエアコンが全く冷えなくなります。修理には数万円以上の高額な費用がかかるか、最悪の場合、買い替えしかありません。

リスク3:「追加料金」や「不要なオプション」で、結局高額請求される

「5,000円~」という格安広告で顧客を集め、作業当日に「汚れがひどいので追加料金が必要です」と高額な請求をするのは悪質な業者の典型的な手口です。一度家に来てもらうと断りにくい心理が働き、言われるがままに支払ってしまうケースが後を絶ちません。

さらに巧妙なのが、本来不要なオプションをしつこく勧め、料金を吊り上げる手口です。

【実録】「不要なオプション営業」の手口

実際に、一部の業者では以下のような営業トークがマニュアル化されています。

  • 室外機洗浄の営業トーク
悪徳業者

室外機はエアコンの心臓部ですから、ここもしっかり掃除しておいた方がいいですよ。4,000円でやらせていただきますが、いかがですか?

【真実】: 実際には、室外機は雨に当たる場所に設置されていれば砂埃が自然に洗い流されるため清掃は不要です。分解しない室外機清掃は5分ほどで終わる作業にもかかわらず、4,000~5,000円を請求するのは典型的な高額オプションです。

  • ドレンホース洗浄の営業トーク
悪徳業者

エアコンの上の方を洗ってる時に水が溜まってました。この水が溜まってる理由はホース内に汚れが詰まりかけていて、放っておくと一気に水がドバーと滝のように流れてきます。修理すると10,000円近くするんですが、今対策してキレイにしておけば問題ございません。それがなんと2,000円でホースの中までやっていきますけど、どうですか?

宇賀神智明

下の写真のようにサクションポンプというものをドレンホースに挿してシュポシュポやるだけです。作業時間は数秒で完了します・・・。

ドレンホースにサクションポンプを挿している状態

【真実】: サクションポンプは、ドレンホースが汚れで完全に詰まってしまってる場合のみ有効です。(室内機(エアコン本体)側から水が漏れてくるレベル)通常クリーニングでは、ホースに汚れが流れて詰まってしまう懸念があるためオプションではなく基本作業です。追加オプションで費用を払うこと自体が損です。

信頼できる業者が行うドレンホース高圧洗浄

写真のように、エアコン本体のドレンパンという部品と繋がっており、引き離すひと手間が必要です。ホースの内部に直接高圧洗浄機を噴射し、細かい汚れまで洗い流すことができます。

ドレンホース洗浄

その他にも独立行政法人国民生活センターにも高額請求された事例が載っておりますのでご注意ください。

失敗しない業者の選び方 10のチェックポイント

完全分解クリーニング業者として多くのお客様と接する中で、「前に頼んだ業者で失敗した」というお話をよくうかがいます。

私自身も駆け出しの頃、お客様に満足いただけず悔しい思いをしたことがあります。その経験と、業界の内側を知る立場だからこそお伝えできる「信頼できる業者を見抜くポイント」を10個まとめました。

1. 料金の透明性:3つの洗浄レベルを理解し、追加料金トラブルを回避する

料金トラブルを避ける最も確実な方法は、見積もり依頼の段階で「料金が確定するタイミング」と「追加料金が発生する可能性のあるケース」をホームページメールで確認することです。口頭での「大丈夫ですよ」という返答は信用してはいけません。

3つの洗浄レベルと料金相場

まず、エアコンクリーニングには大きく分けて3つの洗浄レベルがあり、それぞれ料金と作業範囲が異なります。この違いを理解することが、業者選びの第一歩です。

洗浄レベル作業範囲料金相場(通常タイプメリット・デメリット
レベル1:部分洗浄フィルター、カバー、送風ファンなど、分解せずに見える範囲を洗浄8,000円~12,000円メリット: 安価で作業時間が短い
デメリット: カビの根本原因(熱交換器の裏側、ドレンパンの奥)は洗浄できず、すぐにカビが再発する
レベル2:分解洗浄ドレンパンや送風ファンなど、一部の部品を取り外して洗浄14,000円~20,000円メリット: 通常クリーニングよりは洗浄範囲が広い
デメリット: 最も重要な熱交換器は取り外さないため、カビの根本解決には至らない
レベル3:完全分解洗浄(背抜き・工場持ち帰り)熱交換器、ドレンパン、送風ファンなど、主要部品をすべて取り外して洗浄20,000円〜30,000円(背抜き)
32,000〜50,000円(持ち帰り)
メリット: カビの根本原因を徹底的に除去できる
デメリット: 料金が高く、作業時間が長い

3つの洗浄レベルの技術的な違いは、以下の記事で詳しく解説しています。

お住まいの地域のより詳しい料金相場は、以下の記事でご確認いただけます。

お掃除機能付きエアコンの料金が通常タイプより高く設定されているのは、内部にある複雑な「フィルター自動お掃除ユニット」を分解・取り外すための専門技術料が必要になるためです。

宇賀神智明

注意してほしいのが、ホームページでは分解写真を載せていても、実際にはユニットを取り外さずに表面的な清掃で済ませる業者がいることです。必ず「どこまで分解するのか」を予約前に確認しましょう。

どこまで分解するのか写真で見分けられます

お掃除ユニットを分解していないエアコン
表面的な清掃不可な状態。お掃除ユニットを分解していない状態のエアコン
お掃除ユニットを分解しているエアコン
お掃除ユニットは分解しているが完全にパーツは外さない状態のエアコン
ケーシングまで取り除いて背抜き完全分解している状態のエアコン
お掃除ユニットだけでなくケーシングまで取り除いて背抜き完全分解している状態のエアコン

あなたに必要な洗浄レベルは?

以下の症状に1つでも当てはまる場合は、カビが内部で深刻化しているサインです。その場合、レベル1やレベル2では根本解決できず、レベル3の完全分解洗浄(背抜き)が必要になります。

  • 吹き出し口の奥に黒い点々(カビ)が見える
  • 運転開始時に目に見えないホコリっぽさを感じる。
  • 運転開始時にカビ臭い・酸っぱいニオイがする
  • 風と一緒に黒いススのような粉が飛んでくる
  • エアコンを使い始めてから咳やくしゃみが出るようになった

これらの症状は、カビの根本原因である「熱交換器の裏側」や「ドレンパンの奥」が深刻に汚染されている証拠です。レベル1の通常クリーニングでは、これらの場所に物理的に到達できないため、一時的に表面がきれいになっても、すぐにカビが再発してしまいます。

熱交換器の内側で黒カビが発生している様子
一見きれいに見えても、エアコン内部の熱交換器をよく見ると、フィン(金属の板)の間に黒いカビがびっしりと付着しています。ニオイの根本原因は、こうした見えない部分に残っている可能性が高いです。
ドレンパン全体・グレー樹脂
通常クリーニングでは目に見える範囲のみを清掃するため、ドレンパン本体の汚れは放置されたまま。グレー色の樹脂部品は水垢やカビの蓄積が目立ちにくく、汚れの進行に気づきにくい。

予約前のチェックリスト

  • 最終料金の確定タイミングはいつか?(例:訪問前の事前確認時点、当日の作業開始前など)
  • 汚れの度合いによって追加料金は発生するか?
  • 自分の機種(メーカーと型番)で、別途料金が発生する項目はあるか?

これらの質問に明確に、そして快く答えてくれる業者は、料金体系に自信があり、誠実である可能性が高いでしょう。

2. 技術力:「完全分解」の実績写真で本物を見抜く

技術力を見極める最も分かりやすい指標が「完全分解洗浄」に対応しているか、そしてその実績写真が豊富かです。

「実績多数!」と謳っていても、簡単な標準タイプのエアコン写真ばかりを掲載している業者には注意が必要です。特に複雑なお掃除機能付きエアコンの場合、ご自宅のエアコンと「同じメーカー」で「同じシリーズ」の完全分解洗浄実績があるかを確認してください。

個別施工事例の詳細ページ
東芝お掃除機能付きエアコン(型番:RAS-251ND)の完全分解洗浄事例。施工日、メーカー、型番、症状(カビ臭い・異臭)、お悩み(送風口のカビ、カビ臭、梅雨)が明記され、ビフォーアフター写真で送風ファンの黒カビが完全に除去された様子が確認できる。
エアコンクリーニングの施工事例一覧ページ。メーカー別フィルター(ダイキン、パナソニック、日立、東芝など)と実績が表示されており、各事例には施工日、機種名、症状が明記されている。
このように、メーカー・型番・施工日が明確に記載され、実績が検索できる業者は技術力への自信の表れです。「実績多数」と謳うだけでなく、「どの機種に対応できるか」を証明しています。
部分洗浄と完全分解洗浄の違い
部分洗浄と完全分解洗浄のでは大きな違いがあります

実績写真で見るべき3つの質

  • 機種名の明記: 「日立しろくまくんXシリーズ」など、具体的な機種名が記載されているか。
  • 分解工程の写真: 単なる洗浄前後の写真だけでなく、複雑な部品を分解している途中の写真があるか。
  • 写真の鮮明さ: 汚れの状態がはっきりとわかる、ごまかしのないクリアな写真か。

3. 作業の丁寧さ:養生の写真でプロの配慮を見抜く

「養生」とは、洗浄中に水や洗剤が飛び散らないよう、エアコン周りの壁や家具などを保護する作業です。この作業を丁寧に行うことは、お客様の家財を大切に考えている証拠と言えます。

クッション製の養生シート
クッション製の高い養生シートを引くことにより、床に傷がつかない
エアコンや部屋を養生している
エアコンや部屋を丁寧に養生している写真です。水しぶきやホコリなどが飛ばないよう最新の注意を払って養生してくれる業者は信用できます。
宇賀神智明

特に注目すべきは、床にクッション性の高い養生マットを敷いているかどうかです。落下物や金属部品で床が傷つくのを防ぐためですが、荷物になるためビニールシート1枚で済ませる業者がほとんどです。こうした細部への配慮が、信頼できる業者の証です。

4. 損害賠償保険に加入しているか

損害賠償保険への加入確認が必須なのは、万が一エアコンを故障させられた場合に、高額な修理費や買い替え費用を自己負担するリスクを避けるためです。

宇賀神智明

私自身も過去にお客様のエアコンの電子基板を洗浄中の水濡れでショートさせてしまったことがあるんです。起業当時は知識も技術も未熟で、保険にも未加入でした。結果、数十万円の修理費用を全額自己負担することになり、お客様にも大変なご迷惑をおかけしました。この一件で、私は自分の未熟さを猛省し、エアコンクリーニングをゼロから学び直す決意をしたのです。

どんなに熟練したプロでも、100%故障させないとは言い切れません。特に注意が必要なのが「遅発性故障」です。部分洗浄では、洗浄水がモーターやセンサー部分に入り込む場合があり、適切な処理が行われないと、数ヶ月後にサビが原因で動作不良が生じるケースが報告されています(修理費用:15,000〜20,000円程度)。だからこそ、万が一の事態に備えて、損害賠償保険への加入は必須条件です。

エアコンの風向き調整用モーターに洗浄水が浸入し、錆が発生している状態。
エアコンの風向き調整用モーターに洗浄水が浸入し、錆が発生している状態。白いプラスチック部品とモーター本体の腐食が確認できる。
洗浄水が飛んでしまい洗剤のアルカリ成分で腐食が進行してる基板
基板に洗浄水が飛んでしまい、洗剤のアルカリ成分で腐食が進行。この状態では電気系統のトラブルが避けられません。

5. 洗剤の安全性:健康と機器を守るための知識

赤ちゃんやペットのいるご家庭では、問い合わせの際に「どのような洗剤を使用していますか?人体への安全性は証明されていますか?」と直接質問することをおすすめします。

プロの視点からお伝えすると、ここまで具体的に質問されるお客様は、安全性への意識が非常に高いと判断し、業者側もより一層気を引き締めて対応します。中には、洗剤の「安全性データシート(SDS)」を開示してくれる誠実な業者もあります。SDSの提示を快くできるかは、業者が薬品リスクを管理するプロ意識を持つか見極められます。

抗菌コートの注意点

多くの業者がオプションとして提供する「抗菌コート」ですが、まずは、洗浄品質そのものを確認することが重要です。安易な選択は、次のような逆効果を招く可能性があります。

  • 汚れを内部に封じ込めるリスク
    万が一、内部に汚れが残った状態でコーティングすると、カビの胞子ごと封じ込めてしまい、根本的な解決になりません。

業者を選ぶ際は、まずオプションの有無よりも「完全分解洗浄」などで内部を徹底的に洗浄する技術力があるかを最優先で確認しましょう。

6. 口コミの質:高評価よりも「具体的な内容」に注目

口コミを見るときは、星の数や「とても綺麗になりました!」といった短い感想だけに惑わされてはいけません。本当に注目すべきは、「なぜその評価になったのか」が具体的に書かれている内容です。

口コミで注目すべき3つの内容

  • 具体的な作業内容: 「長年のカビ臭さが一発で消えました」「送風ファンの黒い点々が完全になくなった」など、ビフォーアフターがイメージできる記述
  • スタッフの対応: 「作業前に丁寧に説明してくれた」「質問に専門的な知識で答えてくれた」など、人柄や信頼性がわかる記述
  • 自分との共通点: 「ペットがいる我が家でも安心できる洗剤でした」「古い機種でも問題なく対応してくれた」など、ご自身の状況と似た人の口コミ

7. 作業時間の目安:安易な「早さ」は危険信号

丁寧な分解洗浄には、相応の時間がかかります。「60分で完了」のような極端に短い作業時間を謳う業者は、必要な工程を省略している可能性が高く、危険信号と捉えるべきです。

エアコンタイプ高品質な作業の目安危険信号(手抜きの可能性)
標準エアコン約2時間 ~ 3時間1時間(60分)未満
お掃除機能付き約 3時間 ~5時間2時間未満

8. パーツの扱い方:洗浄場所で顧客への配慮を見抜く

取り外したエアコンのパーツを、業者がどこで、どのように洗浄しているか気にしたことはありますか? 実は、この「パーツの洗い方」に、お客様のエアコンを大切に扱っているかどうかが明確に分かります。

注意すべきは、ベランダや庭先のコンクリートの上で、カバーなどのパーツを直接置いて洗浄する業者です。

一見問題ないように見えますが、ザラザラしたコンクリートの上で洗浄すると、プラスチック製のカバーに無数の細かい傷がついたり、塗装が剥げてしまう原因になります。これは、お客様の大切な資産であるエアコンを、単なる「作業対象」としか見ていない証拠です。

信頼できる業者は、必ず養生マットや専用の洗い桶を持参し、その上でパーツを一つひとつ丁寧に洗浄します。こうした細やかな配慮が、最終的な仕事の質に直結します。

屋外用の養生マットでエアコンを洗浄している様子
養生マットを敷いて作業をすることは、組立完了後に見えなくなる部品も傷をつけずに大切に取り扱ってる一つの指標となります。
宇賀神智明

洗浄場所は、駐車場やお庭で作業することが一般的ですので、外での洗浄写真がホームページに載っていたら養生マットを敷いて洗っているか確認してください。

9. 使用工具へのこだわり:エアコンの寿命を縮める「ペンインパクト」に注意

「作業が早い=良い業者」とは限りません。その速さが、エアコンの寿命を縮めている可能性があるからです。特に注意してほしいのが「ペンインパクトドライバー」という電動工具の使用です。

ペンインパクトドライバーは、回転数が高く締め付ける力(トルク)が非常に強いため、作業効率が格段に上がります。そのため、多くの業者(分解洗浄に慣れた業者でさえも)が好んで使用します。

しかし、エアコンの本体やパーツの多くは樹脂(プラスチック)でできています。ここに強力なペンインパクトドライバーを繰り返し使うと、ネジの受け側である樹脂の山が潰れてしまい、ネジがしっかり締まらなくなる「ネジバカ」の状態になってしまうのです。

一度樹脂側のネジ山が潰れるとパーツの交換が必要になり高額な修理費がかかることもあります。

ペンインパクトドライバーでエアコンパーツを締めている写真

本当にエアコンのことを考えているプロは、効率だけを求めません。手回しのドライバーや、力の調整ができる電動ドライバーを適切に使い分け、ネジ一本一本に最適な力で締め付けます。目先の効率よりも、お客様のエアコンが5年後、10年後も安心して使えることを第一に考えているか。その姿勢が、使用する工具に表れます。

10. 会社情報:代表者の顔と住所は信頼の証

業者を家に招き入れる以上、その素性を確認するのは当然です。公式サイトに「会社名」「代表者名」「住所」が明記されているかを確認しましょう。特に、代表者の顔写真が掲載されていれば、その事業者の信頼性はさらに高まります。

後悔しないために。契約前に最終チェックすべきこと

エアコンクリーニングを検討する中で、「どの業者が本当に信頼できるのか」「料金だけで選んで失敗しないか」と迷うのは、ごく自然なことです。最終的な一社を決定する際には、これまで解説してきたポイントを総合的に整理し、ご自身が何を最も重視するのかを明確にしましょう。

  • 料金の透明性(追加料金の条件は明確か?)
  • 技術力の証明(写真付きの具体的な実績はあるか?)
  • 洗浄レベルの適合性(自宅のエアコンの状態に合った洗浄方法か?)
  • 万が一への備え(損害賠償保険に加入しているか?)
  • 仕事への姿勢(養生やパーツの扱い、工具への配慮はあるか?)

もし、業者とのやり取りの中で少しでも対応に不安を感じたり、料金や作業内容について納得のいく説明が得られなかったりした場合は、無理にその場で契約する必要は全くありません。

一度立ち止まって他の業者と比較検討することも、後悔しないための賢明な選択です。

目先の価格だけでなく、その裏にあるリスクや業者の誠実さまで含めて冷静に見極めること。それが、数年後のエアコンの状態、ひいてはご家族が毎日吸い込む空気の質を守ることに繋がります。

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